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癌患者もただの人。働かないと食えないし、笑ったり怒ったり、電車にも乗るよ。
昨夜の出来事。
布団に横になり、そろそろ寝るかなというところ。
いつまでも咳は出る。
仕方ないことではある。
食道という臓器は四方を心臓、肺、気管、血管、脊椎、に囲まれ、たいへん面倒な場所にある。
昔の人は病名を聞くと諦めたそうな。
幸いワタシは現代に生きておるゆえ、医学の目覚ましい発展のお陰で鏡視下手術という素晴らしい方法により食道がんを摘出して貰えたのだ。
ありがたいね。
カメラやマニピュレータ侵入は右脇から行うが、四方を取り囲まれている以上、どうしても誰かにどいてもらわねば食道まで辿りつけない。
仕方ないので、ちょっとどいて貰うのが右肺。
肺って畳めるんですな?!
すごいもんだ。
ただんじまった肺は、術後に自力で膨らんでもらわねばならぬ。
なんか表現が極端だが、引っ張って無理に延ばしてもダメなんだな、これは。
当然、肺活量は落ちますよ。
して、畳んだの、どいて貰うので窮屈な思いをした呼吸器官は、術後にやたら痰が出始める。
ワタシは幸いにも喫煙者でなかったので程度は軽かったが、この現象から逃れることは出来ない。
呼吸器は頑張ってはくれるが、喉周りの麻痺を伴う不調と相まって二月経っても咳は続く。
色々おさまる目安は6ヶ月ですか。
しかし、せっせと出るほどに痰もからまなくなった。
落とし穴。
横になって軽く咳き込んでいると、口内に流れ込んでくる何か。
やや、胃からの逆流か。
いや、しかし、Tの門病院の宇D川先生によるセルフ臓器移植だから、ワタシの胃は引っ張られてないぞ。
たしかに、回腸と結腸で食道再建してもらったぞ。
とにかくトイレに急いで口内の物質を吐き出してみた。
あ、痰。
透明だけど、痰。
おや、まだ痰がこんなに出るんですな。
胸で絡む音が感じられないので、油断していた。
なに、胃の逆流でなくてよかったけどね。
仰向けに寝転んでいたら、うっかり誤嚥事故に陥ることろじゃないか。
横向きに臥していて、幸い。
術後は仰臥すると苦しくなって必ず横を向いて休んでいたが、近頃は仰向けになれるもので危なかった。
食道がんの手術後は、誤嚥が最も怖いんでござんすよ。
飲食だけがリスクではないという、実体験の昨夜。